”望郷”というのが私のテーマです。 例えば、必死で懐かしい音楽を聞き取ろうとすることや、空の移り変わりから目が離せなくなること。電話越しで母に最後の挨拶をすること。決して懐かしさとは言えない、暗い感情のあること。二度とその場所とは巡り合わないこと。 どこかで聞いたそんなことが、頭の中にずっと残っています。 そんなことが、わたしたちの共感であれば、それは少し安心できることであり、「帰れない」という、痛いような思いが和らいでいくような気がします。 私の彫刻もそんな存在であることを願い、物語を紡ぐような気持ちで作っています。