
東京藝術大学大学美術館所蔵「龍文存星香合」の甲面における制作工程の研究により、明~清時代の漆工技法の一部の解明を図り、経年劣化した作品の制作当初の状態を想定し、模造制作を行った。
目視観察しながら、科学分析の結果を材料選択の指針とし、今まで解明されていない「龍文存星香合」の制作工程の復元をする機会を得られた、彫り技法と思われた、この作品が色漆により描かれたものとして検証することができた。また、科学調査分析により当時使われた顔料の実態を考察し、色漆調合の基準となった。そして、明~清時代にかけて中国で制作された作品技法の一考察になったかと思う。